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OMRON DIGITALOMRON DIGITAL

企業ブランディング

2026

オムロン デジタル株式会社
創業50周年記念式典

概要

オムロン デジタル株式会社の創業50周年記念式典において、企画構成からコンセプト策定、各種制作物まで、ブランドパートナーとして関わりました。
組織の現状把握と課題の言語化から着手し、「この式典を通じて組織に何を残すか」という問いを起点に、式典の目的設定、企画構成、コンセプトの策定から、キービジュアル、スライド、オープニング動画、ライブビジュアライゼーション、ノベルティといった制作物までを一貫して制作。これらはすべて、従業員一人ひとりが次の50年を自分ごととして捉え直すための体験として落とし込み、全従業員が組織の現在地と向き合い、自ら価値を生み出す当事者となるきっかけとなりました。

背景

オムロン デジタル株式会社(以下ODC)は、オムロングループのデジタル戦略の中核——CoE(Center of Excellence)としての役割を担うことを期待され、2025年10月、オムロン ソフトウェア株式会社(以下OSK)からの社名変更によって誕生しました。
OSKは長年にわたり、グループ各社から託される開発を確実にやり遂げ、信頼を積み上げてきた組織です。なかでも制御技術(OT)と情報技術(IT)を融合させる実装力は、止まることの許されない社会インフラを支えてきた、OSKならではの強みです。
CoEという新たな役割は、その延長線上にありながら、求められる動き方が大きく異なります。グループのデジタル戦略において「何をすべきか」を自ら問い、上流から主体的に価値を定義していく役割です。託されたものを形にする組織から、問いを立てて動く組織へ。この転換は、これまでの強みを手放すことではなく、その強みを新たな領域へ広げていく挑戦でもありました。
創業50周年という節目は、この新たな役割に組織全体で向き合う、またとない機会。確かな技術力と誠実さという土台の上に、「自分たちはなぜ、上流から主体的に価値を生み出していくのか」という問いをどう根づかせるか。その現在地を確かめることが、このプロジェクトの起点となりました。

目指した姿

私たちが目指したのは、この役割の転換を一部の人の課題に留めず、従業員一人ひとりが「自分の仕事が、会社の未来をつくる」と実感できるところまで引き寄せることでした。
そのため今回の式典は、過去を振り返る場ではなく、自分たちが今どこにいて、これからどこへ向かうのかを一人ひとりが問い直す場として再定義しました。

支援内容

まず私たちは、クリエイティブ制作にいきなり着手するのではなく、組織の現状を把握することから始めました。プロジェクト担当者や、部課長層へのヒアリングをもとに、組織が内側に抱える意識の構造を言語化。表層に現れていない課題や、従業員の実態を浮き彫りにしていきました。

<「主役は従業員」という想いを、どう体験に翻訳するか>
ODCは当初から、「式典を従業員一人ひとりが主役となる場にしたい」という明確な想いを持っていました。「従業員が主役」という想いに強く共感し、その上で全従業員が一堂に会するこのまたとない機会に、「”主役”をどう定義すべきか」という問いから向き合っていきました。
この貴重な一日を「楽しかった」で終わらせず、一人ひとりが会社の現在地と向き合い、次の50年を自分ごととして考え始める読後感を持ち帰れる場にしたい。両社議論を重ねるなかで、「従業員が主役」という想いは「盛り上がる主役」から「未来をつくる当事者としての主役」へと深められ、それが後に続く企画・クリエイティブを貫く軸となりました。

<クリエイティブモチーフの策定>
式典には、「私たちが、未来だ」という力強いコンセプトがありました。この言葉を、従業員一人ひとりがより深く自分ごととして受け取れるようにすること。それが、クリエイティブに求められた役割です。

そこで私たちが立ち返ったのは、「組織とはそもそも何によってかたちづくられるのか」という問いでした。会社の歴史という時間の積み重ねを縦糸とすれば、その時々に会社を支えてきた一人ひとりの意思は横糸にあたります。縦糸と横糸が交差して、組織という一枚の生地が編まれていく。そして編み上がったその構造は、無数の要素が緻密に組み合わさってできているという点で、デジタルな構造物とも重なります。

この捉え方から導かれたモチーフが、「布」「織物」でした。縦糸と横糸が交わって布が生まれるように、会社の歩みと従業員一人ひとりが交わることで組織がかたちづくられる——その構造を、視覚的にも概念的にも表現できる。同時に、デジタルという領域が持つどこか冷たく抽象的な印象を、布の持つ温かみと具体性によって補えると考えました。

そして、このモチーフと既存コンセプトを結びつける言葉として開発したのが、「未来を織りなせ。」です。「未来を織りなせ。私たちが、未来だ」という一連の言葉になることで、コンセプトに自分ごとへの道筋が生まれました。

<式典全体企画>
50周年という節目を、単に場が盛り上がる時間で終わらせず、「一人ひとりが次の50年を自分ごととして考える契機にする」。その思いからたどり着いたのが、「うちを知る」「外を知る」「未来を知る」という3本柱の構成です。
「うちを知る」は、これまでの歩みを沿革の事実として羅列するのではなく、その裏側にあった苦悩や判断の積み重ねを掘り起こし、ODCがどういう会社であるかを知るパート。
「外を知る」は、AIの台頭によって生産性向上が世界規模で進む今、自分たちの置かれた環境を客観的に捉え直し、その中でODCだけが持つ固有の強みは何かを問うパート。
そして「未来を知る」は、内と外を知った上で「では自分たちはどう動くのか」を考える、式典全体のまとめです。
この3つの問いを順に経ることで、参加した一人ひとりが、受け身ではなく、自らの意思で次の50年に向き合う当事者として式典を終える構造に落とし込みました。

<オープニング動画>
式典の冒頭を飾るオープニング動画は、クリエイティブの世界観へ参加者を引き込む入り口であると同時に、「どんな気持ちでこの場に臨んでほしいか」場をセットする役割を担いました。
50年の歩みを振り返りながら、これからの会社を作っていくのは自分たちであるという意識へと自然につながる、起承転結のあるストーリーラインで構成しています。ナレーションの言葉選びとテンポ、後半にかけて高まるBGMの熱量を精緻にコントロールし、見終わるころには参加者の気持ちが自然と前を向き、当事者意識が芽生える構造になっています。

<ライブビジュアライゼーション>
式典当日の演出として、会場である京都国際会館の空間全体を使ったライブビジュアライゼーションを設計しました。2部構成で展開しています。
第1部では、式典会場に入場する従業員の動きそのものを演出の素材としました。人が会場に集まり、移動するたびに、その軌跡が布を構成する糸の一本として可視化され、画面上でゆっくりと布が織りなされていく映像が展開します。
第2部では、第1部で生まれた布のビジュアルを起点に、式典の中で語られた言葉や写真などの要素をリアルタイムで抽出し、そのデザインが有機的に拡張していく演出へと移行します。

未来が今日この瞬間から始まっていること、そしてそれを織りなすのは他の誰でもなく、この場にいる自分たちであることを、映像体験として表現しました。

<ノベルティ>
式典の記憶を「もの」として持ち帰ることができるノベルティとして、コースターを制作しました。
ノベルティに求めたのは、その場限りの記念品ではなく、式典で生まれた気持ちの「トリガー」としての機能です。手に取るたび・視界に入るたびに、挑戦しようという意志や前向きな熱量が蘇る。そうした永続的な体験を意図して設計しました。

またコースターを選んだ背景には、在宅勤務を推奨するODCの働き方があります。家でも職場でも自然に使えるものであることで、仕事とプライベートの両方の場面で、式典の読後感が日常にそっと寄り添い続ける設計を意図しました。
デザインには、キービジュアルに用いたモジュール単位のグラフィックを展開しています。1枚ではなく複数枚を組み合わせて梱包することで、モジュールの連なりが生む可愛らしさが際立つ仕様としました。

成果

「楽しかった」で終わらせない——その意志が、式典全体を貫きました。「うちを知る」「外を知る」「未来を知る」という3つの問いを順に経ることで、参加した従業員一人ひとりが、自分たちの歴史と置かれた環境を客観的に捉え直し、次の50年を自分ごととして考える契機が生まれました。