
概要
数々のCMやミュージックビデオを手がけてきたプロデュースカンパニーTYO。採用ミスマッチという課題を起点に、「TYOの魅力は、求職者のどのようなインサイトに響くのか」という問いからプロジェクトに関わりました。TYOらしさと求職者インサイトを対の構造として結び直し、採用サイトのコンセプト「自分らしさ、それが映像をおもしろくする。/Your colors light up the screen.」を軸に、クリエイティブまでを一貫して設計しています。

背景
採用においては、業種・業務内容の詳細や、社風、採用後のキャリアステップのイメージなどを伝えきれておらず、採用のミスマッチを防ぐ取り組みが十分ではありませんでした。
内定承諾率を高めるには、TYOの魅力を求職者に的確に届けること。そして入社後のミスマッチを減らすには、TYOで実際に働くイメージを求職者が具体的に持てること。この二つがプロジェクトの出発点となる課題でした。
目指した姿
このプロジェクトは、「TYOのどんな魅力を訴求すれば、競合他社との差別化となり、求職者のどのようなインサイトに刺さるのか」という問いを起点に始まりました。
私たちが目指したのは、TYOの持つ魅力と、求職者のインサイトが対になる訴求構造です。TYOのミッションである「最高の制作チームで、領域を超え、心を動かし、『伝わる』ものを作り続ける」を体現するPM(プロダクションマネージャー)であり、将来のプロデューサー候補となる人材。その思いに共感し、自分の個性を存分に発揮してくれる人がTYOに集い、映像という手法を通じて世界をよりよくしていく、そうした出会いを生むことをゴールに設定しました。

支援内容
<コンセプトの策定>
まず、TYOの持つ魅力を整理し、言語化することから着手しました。ヒアリングは現場のPMやプロデューサーから人事、経営陣まで幅広く実施。そこから見えてきたのは、バイネームで活躍する個性豊かなメンバー/ロールモデルの存在、それを尊重するカルチャー、そしてスローガンの「We drive emotions.」を体現する仕事への向き合い方でした。
TYOの魅力が「個性とそれを尊重する文化」にあるとすれば、その魅力は誰に、どう響くのか。採用市場における求職者にも目を向けてみると、「自分のキャリアを決めきれるほどの知識や経験はまだ持っていないと感じつつも、自分自身の個性を大切にしたキャリア選択をしたい」と考える学生の姿。社会に出ることを「他者に馴染むこと」と捉えがちな風潮に小さな疑問を抱きながら、自分自身の経験をもとに、自分らしさを武器にして社会や世の中に貢献したいと願う人たちのインサイトが見えてきました。
TYOの魅力と、この求職者インサイトを対の構造として結び直し、コンセプトコピー「自分らしさ、それが映像をおもしろくする。/Your colors light up the screen.」を開発しました。
<クリエイティブモチーフの策定>
クリエイティブモチーフには「ピクセル」を採用しました。ピクセルは映像を構成する最小単位であると同時に、TYOで働く一人ひとりの個性を表すメタファーでもあります。「Your colors light up the screen.」というコンセプトの通り、一人ひとりの”個性”こそが映像を立ち上がらせる。この思想を視覚言語のシンボルへと翻訳しました。
設計上の主題は、一人ひとりの個性と、それらが集まってひとつの映像をつくり上げる集合性を、ひとつのモチーフのなかで同時に成立させることでした。その繊細なバランスを取ることに注力しています。
ピクセルというモチーフをベースに、個性を表現するキャラクターへと展開しました。一つひとつにリグを設計し、フェイシャルキャプチャーによって表情を動かせる仕組みを構築しています。パーツと色の組み合わせを変えることで無数の顔をつくり出せるだけでなく、社員一人ひとりのその人らしい笑顔や視線の動きまでキャラクターに宿らせることができます。「個性を表現する」という言葉を、見た目のバリエーションだけでなく、技術的な深度においても具現化しました。
<コンテンツ設計>
コンテンツの中核には、TYOで活躍する個性豊かな社員へのインタビューを据えました。入社間もないPMから執行役員、ブランドトップによる座談会まで、多様なキャリアステージ・職種・ブランドのメンバーを取り上げています。
各インタビューは、「学生時代から現在に至るまでの経験を経て、その人がいかにして唯一無二の個性を獲得してきたか」を主軸に構成しました。
完成された人物像を提示するのではなく、迷いや選択、出会いの積み重ねによって個性が立ち上がっていくプロセスそのものを描く。そうすることで、求職者が自身のキャリアを重ね合わせて読めるようにしています。「自分でキャリアを決めるほどの知識や経験はまだない」と感じる求職者にとって、ロールモデルとなる先輩のキャリアを追体験することは、「自分らしさ」を発見していく入口になると考えました。
<Webサイト制作>
本プロジェクトで開発したキャラクターを、サイトの隅々に配置し、一つひとつに異なる動きや表情を持たせています。コンテンツとしての可読性は損なわず、それでいて何度訪れても見飽きない、そうした体験を目指したデザインです。
配色や全体のトーンは、TYOのビジュアルアイデンティティを逸脱しない範囲で構築しました。その上に採用サイトとしてのユニークさを重ねることで、コーポレートとしての一貫性を保ちながら、求職者にとっての親しみやすさとTYOの魅力が伝わるデザインに仕立てています。


成果
本リリース後、採用サイトは着実に機能し始めています。
面接など学生と対面する場面で、サイトの内容に共感したという声が増えているといいます。なかでも社員一人ひとりにフォーカスしたインタビュー記事は反応が大きく、「個性を受け入れてくれる会社だと感じた」「憧れるプロデューサーが在籍している」といった言葉が、求職者から実際に寄せられました。個性が尊重される場であるという理解が求職者に届き、母集団形成にも一定の効果が生まれ始めています。
さらに、ブランドトップ対談インタビューを読んだ求職者が、最終面接で実際に本人と対面するという接点の設計も好感触でした。記事で触れた会社の雰囲気や目指す姿に、面接の場で共感が深まったという声も届いています。
人に焦点を当てるという設計の意図が、求職者との出会いの場で確かに生きている。採用活動のなかで、その実感が少しずつかたちになり始めています。
Credits
Branding / Web site
- Brand Director / Writer
- 斉藤 奈央
- Brand Director
- 福田 悠斗
- Art Director / Designer
- 小倉 裕香
- Art Director
- 小猿 啓太
- Animator
- 城塚 健人
- Engineer
- 大島 涼佑
- Engineer
- 岩下 明日海
- Photographer
- 相川 健一 (フリーランス)
- Photograph Assistant
- ミツヤス タクミ (フリーランス)
- Photograph Assistant
- ヤマモト ミカン (フリーランス)
- Rigging Artist
- C'S CRAFT
- Interview Writer
- あかし ゆか (フリーランス)



