
概要
西陣織の老舗・細尾、ZOZO NEXT、東大筧康明研究室による共同研究「環境を形づくる織物」の展示会「Ambient Weaving Ⅱ」を、Web空間上に再現したバーチャルギャラリーサイトのクリエイティブを支援しました。伝統工芸と先端技術の融合によって生まれた織物の美を、デジタル空間でより多くの方々に届けるプロジェクトです。


背景
ZOZO NEXT、東京大学・筧康明研究室、伝統織物メーカー細尾は、2020年から共同研究に取り組んできました。伝統工芸と先端素材・インタラクション技術を融合させ、緯糸の箔から音を鳴らすことができる織物や、周辺環境の温度に応じて呈色する織物といった「環境を形づくる織物」の可能性を模索してきたプロジェクトです。
京都・HOSOO GALLERYで開催された「Ambient Weaving Ⅱ」の展示会終了後、国内外を問わずより多くの方々にご覧いただけるよう、また、さまざまな企業とのコラボレーションの機会を探ることも視野に入れ、展示空間をWeb上に再構築するバーチャルギャラリーサイトの企画が立ち上がりました。私たちはこの企画に、クリエイティブパートナーとして参画しています。

目指した姿
織物という紀元前から人類とともに歩んできた素材を通じて、伝統と未来を交差させ、環境・文化・テクノロジーを再定義する試み。国内外のより多くの方々が、Web空間上で作品に向き合える場の実現を目指しました。
支援内容
「環境を形づくる織物」群の物理特性に向き合いながら、「In Praise of Shadows(陰翳礼讃)」をテーマに据えました。フォトグラファー・ビデオグラファー・デザインエンジニアとともに、Essential Form(本質として欠かすことのできない形)を描き出すアプローチです。伝統工芸技術と先進技術によって拡張された美意識を具現化しています。
<体験設計>
フォトグラメトリー技術による展示空間の高精度な3D再現。
実際の展示会場を空間スキャンし、現地空間の構造とディテールをデジタルデータとして取得しました。取得したデータから3D空間を構築し、織物が持つ質感・素材性を表現するため、3Dライティング・マテリアル設計を丁寧に行っています。環境光や影の微細な変化まで再現することで、実空間に近い没入感を実現しました。



<デザイン>
鑑賞者と織物との対話を生むミニマルなインターフェイス。
ダイナミックなタイポグラフィとビジュアル、アンビエントな光、鑑賞者の視線や動線に配慮したカメラ制御と作品ごとのインタラクションを設計しました。作品鑑賞に没入できるよう、視界を妨げる要素を極力排除した直感的な操作体系です。
<写真・映像>
環境変化に応じて表情を変える織物の質感と没入感の視覚化。
光や熱などの環境変化により繊細に変化し、わずかなアングルの違いで表情を変える織物の特性を捉えました。微細な色彩や質感、実物に対峙した際の静謐な没入感覚を映像として伝えています。
<フロントエンド・WebGL>
展示空間の距離感と光を忠実に捉えるカメラ・レンズ設計。
展示された織物が持つ、光や環境に反応して微細に変化する色彩や質感をWebGLで再現しました。アングルやカメラワークに細心の注意を払い、織物の世界をストレスなく回遊できる操作性を追求しています。
<サウンド>
織物の佇まいと空気感を音で表現するアンビエント空間。
有機的な存在感を放ちながらも鉱物のような温度感を持つ織物の佇まいを、残響性の高い音色とサラウンド感で表現しました。伝統工芸と先端技術が交差するアンビエントな音空間です。

成果
京都・HOSOO GALLERYでの会期に限定されていた展示体験が、時間と場所の制約なく届けられる状態になりました。共同研究の成果を伝えるアーカイブであると同時に、企業とのコラボレーションを探索する発信基盤としても機能しています。
Credits
WEB
- Art Director / Designer
- 圓島 努
- Producer / Director
- 加藤 雄也 (D2C Inc.)
- Design Engineer
- 村田 尚毅 (Bushitsu Inc.)
- Photographer
- 西部 裕介 (Freelance)
- Movie Director & Videographer
- 坂本 尚人 (Freelance)
- Sound Designer
- 鈴木 隆太 (Freelance)