
概要
TT Globalは、世界40カ国以上でIT機器のリユース事業を展開し、新興国の企業や個人に向けて、信頼性の高いデバイスを届けてきました。1999年の設立以来、20年以上にわたり着実な成長を遂げ、IT機器リユース分野におけるグローバルなリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。一方で、次の成長フェーズを見据えたとき、同社が社会に対してどのような意志を持ち、何を実現しようとしているのかという「思想の輪郭」を再構築する必要がありました。単なるリユース事業者という枠組みを超え、なぜこの事業を存続させているのか。その本質を企業の旗印として明確に掲げ直すことが、本プロジェクトの使命でした。私たちはリブランディングを起点に、ミッション・ビジョン、コーポレートロゴ、コーポレートサイトをはじめとするブランド表現全体を再設計し、TT Globalが目指す世界観を社会に対して一貫して伝えられる基盤を構築しました。

背景
TT Globalは、役目を終えたIT機器を再び価値ある資源として循環させ、新興国の人々に手頃な価格でITへのアクセシビリティを担保してきました。その積み重ねは、結果として多くの人々の教育、仕事、そして人生の機会創出を支えるインフラとしての役割を果たしてきました。しかし、事業が持つ社会的意義の大きさに対して、企業としての哲学や世界との向き合い方は、十分に言語化されていませんでした。グローバル展開が加速する中で、地域や接点ごとにブランドの解釈が揺らぎやすく、「リユース」という機能的な側面以上の価値が外部から見えにくい構造を抱えていたのです。これは単なるビジュアルの刷新ではなく、「なぜこの事業を続けているのか」という問いに対し、グローバル企業のリーダーとしてどう答えるかという、存在意義を問う段階に入っていたことを意味していました。
目指した姿
本プロジェクトが目指したのは、ITリユースを環境配慮やコストメリットといった限定的な文脈で語ることではありませんでした。IT機器は、現代社会における自己実現や社会的成功に不可欠な基盤であり、そのアクセス格差は、そのまま教育・仕事・機会の格差へと直結します。リユースは、その格差を是正するための最も現実的かつ持続可能な手段である——。TT Globalが20年以上にわたり実践してきたこの思想を、単なる事業説明ではなく「世界への意思表示」へと昇華させることをゴールに設定しました。策定するミッション・ビジョンには、現在の事業領域のみならず、将来の成長や事業拡張にも耐えうる普遍性と力強さを持たせています。
支援内容
リブランディングにあたり、最初に取り組んだのは、TT Globalの根底に流れる価値観と意思を「発掘」することでした。代表および経営陣との対話を重ね、同社が20年以上にわたりビジネスを通じてどのような世界を描こうとしてきたのか、その深層心理を整理していきました。
20年の軌跡を「社会への意志」へと精緻化する
対話の過程で明確になったのは、同社の歩みそのものが「デジタル格差の解消」という一貫した思想に基づいているという事実でした。この思想を中核に据え、ミッション・ビジョンを再定義。「Digital equity through IT reuse」「A world with universal access to technology」という言葉へ落とし込み、事業説明を超えた、世界との向き合い方を示す言語として設計しました。

普遍性と象徴性を兼ね備えたアイデンティティの設計
コーポレートロゴは、価値が人から人へ、企業から企業へと受け継がれていく様子を「バトン」をモチーフに表現しました。右へ向かって拡張する形状は、企業と世界の持続的な成長を象徴しています。また、ロゴの傾斜を地球の地軸(23.4度)と同一角度に設定することで、単なる意匠を超えた「グローバルな責任を背負う覚悟」を1度単位の設計に込めています。

思想を「体験」として実装し、グローバルな信頼を構築する
コーポレートサイトでは、ミッション・ビジョンを起点としたストーリー設計を行い、事業の多層的な取り組みが直感的に理解できる構成を採用しました。WebGLを用いた演出により「循環」という抽象概念をデジタル上の手触りとして表現しながら、表現性と可読性、パフォーマンスの均衡を丁寧に制御。グローバル企業としての堅牢な信頼性と、未来志向の躍動感を両立させる基盤を整えています。


成果
TT Globalの社会的意義と思想が、明確な言葉と形を伴って整理されました。グローバル展開においても解釈がぶれないブランドの軸が定まったことで、社内外に向けて事業の真価を一貫して伝えられる状態が整いました。本プロジェクトは、TT Globalが次のフェーズにおいて、より大きな社会的インパクトを生み出していくための、確かなブランドの再出発点となりました。
Credits
Brand / Web
- Director
- 湖内 慶吾
- Art Director / Designer
- 野澤 美菜
- Lead Developer / WebGL
- 長谷川 巧 (unshift Inc.)
- Technical Director
- 岩崎 航也
- Front-end / Back-end / Infrastructure
- 岩下 明日海
- Copy Writer(JP)
- 山田 知奈 (ハタジルシ)
- Language Advisor
- 満屋 絵美 (フリーランス)
Photography
- Photo Direction
- 井出 裕太
- Photographer
- 相川 健一 (フリーランス)
- Assistant
- 石田 健 (フリーランス)
- Assistant
- 佐々木 まりあ (フリーランス)
Graphic / Tools
- Art Director
- 野澤 美菜
- Art Director
- 小猿 啓太
- Designer
- 小久保 楓